日本の労働力は、2020年度末までに430万人不足する可能性があると言われています。
その不足を補って生産性を高めるため、国は今働き方改革を進め、非正規労働者や女性、
高齢者がより働きやすい環境を目指しているのです。
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目次
1.短時間労働者のための新制度
1-1.社会保険に加入した場合
1-2.社会保険に加入しない場合
1-3.企業側への影響
1-4.本来の目的は?
2.ないと困る!『配偶者控除』
2-1.パート主婦の2大壁とは?
2-1.扶養の範囲内で働いてきた場合
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1.短時間労働者のための新制度
パートなどの保障を正社員並にしようとする新しい制度である。
具体的には、どの様な制度なのでしょうか?
これまでは、週30時間以上働いている人が対象だった「社会保険」を
週20時間以上に引き下げられた。
条件として、以下の内容を満たしている場合に限る。
・年収おおむね106万以上(月8万8千円以上)
・従業員501人以上の会社
しかし、この制度によって、収入が増える人、減る人が出てくる。
これまで 新制度 結果
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・単身者・・・ 保険料全額負担 一部を会社が負担 ・保険料安くなる
・厚生年金加入により老後安心ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・主婦・・・・ 夫の扶養家族 ・保険料負担 ・収入減
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーパートの7割を占める女性だけではなく、家族の生活全体にも大きく影響してくる。
関東を中心に139店舗を展開する8600人パート労働者が働いているスーパーでの
『加入組み』『未加入組』の例を見てみましょう。
1-1.社会保険に加入した場合
・ シングルマザー
・ 一人暮らし、息子は結婚自立している
・ 週5日勤務、一日5時間勤務
・ 月収は約10万円
・ 月々の保険料は約2万1千円から1万5千円に減る
一人暮らしの場合、もしもの時(病気など)に不安があると思います。
パートでも社会保険に加入できる事で、気持ちにゆとりが生まれるのではないでしょうか?
制度改革前は、週25時間のパートでは、社会保険に加入できなかったので、
自分で国や自治体の保険に加入し、保険料(2万1千円)を全額負担する必要がありました。
制度改革により、社会保険に加入し、保険料も会社が一部負担してくれる。
これによって金銭的に悩まなくても済み、自立できる事への安心感が持てるはずです。
更なるメリットは、これまでの「国民健康保険」に比べ「会社の健康保険」は給付が
充実してい足りする場合が多い。
・怪我や病気で長期休暇する場合、給料の約2/3が最大1年半支給される。
・このスーパー独自の取り組みとして、高額の医療費が掛かった場合、3万5千円を
超える分を会社の健康保険組合が負担してくれる。
ーーーーーパートというよりも社員に近い待遇になることもある。-----
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1-2.社会保険に加入しない場合
・既婚、義母 (要介護)・夫・子供 (大学生)
・週25時間勤務・月収9-10万円
・家のローンがある
ーー夫の扶養に入っていて新たに社会保険に加入する場合。
保険料1万5千円を負担する事になり、これまで通りに働くと収入減になる。
元の収入を維持する為には週4時間多く働く必要があるが、
義母を介護している場合時間的な余裕はない。
保険加入の対象にならない様にするには、労働時間を20時間未満に減らす必要がある。
それにより月収も1万円ほど減ることになる
「ローンもあり、大学生の子供の学費の負担もある。
今まで長時間働いていた人がこの制度によって、働けなくなったり時間を短縮せざるを
得ないというのは・・・ちょっとどうかなと思う。ーーーー
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1-3.企業側への影響
新たな制度により、社会保険加入対象となるパート全員に、アンケート調査を行った所、
「保険料負担が重い・扶養の範囲で働きたい」などの理由で、未加入を希望する人が
少なくないことがわかっている。
最終的な意向調査では「加入・47%」『未加入53%』とほぼ半々となった。
会社側のコメント
「予想以上に、『労働時間を短くして保険に入らない』という人が多いという印象を受けた。
時間を短くするとなると、『店舗の営業を継続できるか?人手を確保できるのか?』
という問題が起こってくる。この部分の対応が非常に大事になってくると思う」
影響は企業にも及んでいる。
・都内の店舗では、パート71人中15人が労働時間短縮を選択。
・その結果労働力が、週77時間不足し対応に追われている。
・採用を積極的に行っているが、都内は人材不足が深刻な状態のため、計画した人数を雇う事は
できていない。
ーーーもっとも人手が不足している食品部門では、社会保険加入を選択した人に労働時間を
延ばしてもらうことにした。ーーーー
社会保険加入者が店からの依頼を受け、週10時間労働時間を増やす事などで補うことになる
企業では新たな制度によって、『社員にしわ寄せが行かない様』に対策を摂る必要に迫られている。
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1-4.本来の目的は?
この制度の目的は、将来『厚生年金』で、収入が増える為のものであるから、
当面『増えた、減った』と考えずに長く見たほうがよい。
夫の扶養に入っている場合
たとえば、45歳から65歳まで厚生年金に加入した場合
月1万1千円増で、81歳で元を取ることが出来る。
・保険料1万5千円の内訳・・・年金9千円
健康保険料6千円
・将来の年金額・・・・・・・1万1千円増
9千円払う事で、1万1千円年金が増える。
マイナス金利のこの時代に、とても利率の良い貯金であると
単に負担が増えるのではなく、利率の良い貯金をしていると考えると良い
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2.ないと困る!『配偶者控除』
2-1.パート主婦の2大壁とは?
1.社会保険料106万円の壁
2.年収103万円の壁
パート主婦の場合103万円未満で働いていれば、
・夫の税金で『配偶者控除』によって11万円払う税金が安くなる。
・さらに夫の会社から『家族手当』として19万円もらえる。
2-2.扶養の範囲内で働いてきた場合
夫婦とも50代。これまで夫の扶養の範囲内で働いてきた妻が
社会保険に加入し、年間120万円まで労働時間を増やした場合どうなるのか?
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これまで・夫 妻
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『配偶者控除』・・約5万円
『家族手当』・・・約19万円
600万円の収入があった。 パート収入100万円
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーパート時間を120時間に増やした場合
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扶養家族手当なくなり-24万円 所得税・保険料など19万円負担
576万円 101万円(+1万円)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー結果働く時間が増えたにもかかわらず、世帯年収は減る。
「配偶者控除」があるのとないのでは全然違う。
毎年給料は上がるどころか下がる一方なのに、さらに収入が減るとなると大変な事になる
扶養に入っている場合、社会保険に加入する場合など皆それぞれの立場が違うので、一概に良い・悪いとは言えない制度なのだと分かります。
「今より将来のことを考えて!」と言われても・・・
今本当にお金が足りていない人もいるでしょうから、そういう人は不足分をどこで補えばよいのでしょうか?
『配偶者控除廃止』もいつから施行されるのか?不安な人は多いと思います。
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